感染症対策を講じた心肺蘇生法の注意点について
心肺蘇生法を行う場合、次のことに気をつけ感染防止に努めてください。
・救助者本人はマスクを着用してください。
・倒れている人に触れる場合は手袋、もしくはビニール袋を着用してください。
・倒れている人が密閉された場所にいる場合、窓やドアを開け換気を行ってください。。
・呼吸の確認をするときは、近づきすぎないように心がけてください。
・心肺蘇生法は少ない人数で行ってください。
・市販されている人工呼吸用マスク(一方弁付き)があれば活用してください。
倒れている人が成人の場合
・倒れている人の口元を布やタオル、もしくはマスクなどで覆ってください。
・人工呼吸は行わず、胸骨圧迫のみを行ってください。
倒れている人が小児の場合
・人工呼吸の訓練を受けており、それを行う意思のある家族等においては胸骨圧迫に
加え人工呼吸を行ってください。
※119番通報時、通信指令員が感染防止のための注意点を指導することがあります。
心肺蘇生法の重要性
突然の心停止に襲われた傷病者を救命するために必要となる行動を「救命の連鎖」(Chain of Survival)といいます。構成されている4つの輪が正しく素早くつながって、はじめて効果を発揮するので、どれか1つの輪が欠けるだけでも救命が難しくなります。
心臓や呼吸が止まった人の治療はまさに1分1秒を争います。下記の図を見るように、約10分の間に急激に助かる確率が少なくなっています。現在119番通報から救急車が現場に到着するまで全国平均約6分以上かかります。その間何もしなければ、助かる命も助けられないことになります。そこで、そばに居合わせた人による救命手当が重要になるのです。
- 「心肺停止」後、約3分で50パーセント死亡
- 「呼吸停止」後、約10分で50パーセント死亡
- 「多量出血」後、約30分で50パーセント死亡
心肺蘇生法の手順(成人の場合)
1.感染防止をする。
マスクと手袋(ビニール袋)等をする。
倒れている人が密閉された場所にいる場合、窓やドアを開け換気を行ってください。
2.反応を確認する。
傷病者の口をマスクもしくはタオルで覆い、話かける。
3.助けを呼ぶ。
反応がない。または判断に迷った場合は、大声で助けを求め、119番通報とAED搬送を依頼する。
「誰か来て下さい!人が倒れています。」
「あなたは119番通報して下さい、あなたはAEDを持って来て下さい」
4.呼吸の確認をする。
※近づきすぎないように心がけ胸と腹部の動きを見て、「普段どおりの呼吸」を
しているか、10秒以内で確認します。
5.胸骨圧迫をする。
普段どおりの呼吸がない、または判断に迷う場合は、すぐに胸骨圧迫を行います。
胸骨圧迫は胸の真ん中が約5cm沈むまでしっかりと圧迫します。
6.心肺蘇生(胸骨圧迫のみ)の継続
人工呼吸は行わず、胸骨圧迫のみを行ってください。救急隊に引き継ぐまで絶え間なく続けます。
※小児の場合:人工呼吸の訓練を受けており、それを行う意思のある家族等においては、胸骨圧迫に
加え人工呼吸を行ってください。
AED(自動体外式除細動器)の使い方
- 成人(8歳以上)には成人用パッドを貼ります。(小児用パッドは絶対貼らない)
- 小児(1歳以上8歳未満)には小児用パッドを貼りますが、小児用パッドがない場合は成人用パッドを貼ってもかまいません。
- 1歳未満の乳児にはAEDは使用できません。
- AEDが到着したら
AEDを傷病者の頭の横(救助者側)に置きます。本体をケースから取り出すか、ふたをあけます。
- AEDの電源を入れる
AEDの電源を入れます。(機種によっては、ふたを開けると自動的に電源の入る機種もあります)
その後は音声メッセージとランプに従って操作します。
- 電極パッドを貼る
傷病者の衣服を取り除き、胸をはだけます。胸部に何もないこと(胸毛・ネックレス・ペースメーカー・濡れている等)を確認します。その後、電極パッドの袋を開封し、電極パッドのシールをはがした粘着面を傷病者の胸部にすき間を作らないようしっかり貼り付けます。(電極パッドを貼り付ける位置は、電極パッドに絵で示されています。)
成人用パッドの貼り方
小児用パッドの貼り方
- 電極パッドのコネクターをAED本体に差し込む
機種によっては電極パッドを貼り付けた後、パッドのコネクターをAED本体の差込口(点滅している所)に差し込みます。
- 傷病者から離れる
電極パッドを貼り付けると、「体に触れないでください」などと音声メッセージが流れ、自動的に心電図の解析が始まります。傷病者から離れるようにとの音声メッセージが流れたら「みんな離れて!」と注意を促し、誰も傷病者に触れていないことを確認します。
- AEDの音声メッセージに従う
AEDが電気ショックを加える必要があると判断すると、「ショックが必要です」と音声メッセージが流れ、自動的に充電(数秒かかります)が始まります。充電が完了後、周囲に「ショックします。みんな離れて」と注意を促し、ショックボタンを押します。ショック後は、AEDから「直ちに胸骨圧迫を開始してください」等の音声メッセージが流れますのでパッドを付けたままで、直ぐに心肺蘇生を開始します。
- AEDの電極パットは、救急隊に引き継ぐまで傷病者の胸からはがさず、電源も入れたままにしてください。
- 反応はないが呼吸をしている場合
反応はないが正常な呼吸(普段どおりの呼吸)がある場合や、何らかの反応(うめき声を出したり、嫌がる等の仕草)が現れたら、心肺蘇生を中止し、傷病者を注意深く観察しながら救急隊の到着を待ちます。必要なら傷病者を横向き(回復体位)にして観察を続けます。
- 回復体位
下顎を前に出し、上側の手の甲に傷病者の顔をのせます。さらに、上側の膝を約90度曲げて、傷病者が後ろに倒れないようにします。
各種AEDの使用法については、次のPDFファイルをご確認ください。